しかし、綾波の「ニンニクラーメンチャーシュー抜き」をなぜ抜いた。おかげでラーメンを食べ損なったじゃないか。せっかく新しくできた店で食べて帰ろうと思っていたのに、すっかり忘れた。
他にも、「恥をかかせおって」とか「ぬるいな」とか、冬月副司令の出番が削られているのもご不満。
新劇場版「破」は、やってることは昔より遥かに凄いのにあんまり興奮しない。昔の「エヴァンゲリオン」が猟奇殺人現場なら、新劇場版は五反田のサドマゾショーだ。庵野は再び観客と信頼関係を結ぼうと手を差し伸べているのだが、オレはそんな手は日本刀で切り落としてしまいたい。庵野だって、まさか本気でこの純プロレス、約束事の中のルーチャを信じているわけじゃないんだろ? 本当はポカポカしたいとか全然思ってないんだろ? 完結編で手ひどく裏切りすべて台無しにするための前フリなんだろ? なに違うの? 離婚しろ!
今回の新劇場版は、約束事に身を預けきった純プロレスだ。内容は昔の試合より遥かにハードでアクロバティックになっている。しかしここに本物の怒り、本物の鬱屈、本物の怨念は存在しない。だってポカポカしたいとか言ってんだもんよお。だ、堕落ですよ!
荒事満載でたいへん面白いし映像のクオリティも最高で、凄まじい快楽を与えてくれるエンターテインメントである。しかし、いまさらオレが庵野と信頼関係を結ぶわけにはいかないのだ。そもそも、我々と庵野の間に信頼関係なんかカケラもなかったのだ。
先日、深夜にテレビ版の再放送をしていたので懐かしいなと思ってちょっと観たんですがね、まあ新劇場版に比べて画面のショボイこと。ペラッペラで動きゃしねえ。しかしどのアニメよりも、殺伐とした緊張感がある。この「信頼関係のなさ」が「エヴァンゲリオン」というアニメを特別なものにしていた筈なのだ。夏エヴァなんか銀幕からクソぶっかけてきたんだぜ。
山岡「この味噌汁はできそこないだ。明日、もう一度この水族館に来てください。本物の味噌汁をご覧に入れますよ」
僕の印象ではエヴァという作品そのものは、ウルトラマン&ガンダム(表設定)+デビルマン&ナウシカ漫画版(裏設定)をベースにした庵野秀明オリジナルSF作品(もちろんDICON FILMのように仮面ライダーやイデオンなどあらゆるものが混ざってます)というように感じるのですが、以前、某番組で『オネアミスの翼』の監督をしていた山賀氏やオタキングの岡田氏が、「(使いどころが)ピッタリはまると核兵器なみの威力を発揮する」と語っていたことを今でもハッキリと覚えていて、今日の劇場版を食い入るようにみながら「庵野監督は本当に核兵器並みの才能だよなぁ」と感嘆しっ放し状態でした。
ストーリーとかもそうなんですが、あの映像を見せられただけで、充分に幸せかも知れない。最初の北極のネルフ施設の戦闘シーンの画だけで、もうお腹いっぱいでした。いやもうこれだけのものを作ったら、庵野監督には「エヴァ以降には何もなかった」という資格は、僕はあると思いました。
でも序のときも思ったけど、やっぱりこれは旧版の時に子供だったファンが、大人になってから見て感動する映画で、元々大人だった人や、いまだに子供の時間が続いてる人には、必要のない映画だとは思います。その傾向はこの破で、ますます顕著になったかもしれない。
マリの獣化で男主人公によらない自力救済を期待させつつ、それを挫くところとか、アスカの受難とか、やはりセクシャリティを中心に組み立てられたエヴァの基本的な構造は変わっていない。(それもまたエヴァを構成するルールに内在した)映像的な強度ではほとんど使徒を倒しかけている、マリとレイのタッグが、結局のところ使徒を倒せないのは、彼女たちが女だからだ、とでもいいたくなるほどに。
序ってなんだったんだろう? 「破」から「序」をみてしまうと、「破」のような過剰さがないぶん、どうしても旧作から削ったものが目についてしまう。それでも、第一に「破」的なものの萌芽として、第二にそこから旧作をみかえすために、「序」の重要さを取捨してはならないと思う。
正直一番面白くて楽しかったのが冒頭。
エントリープラグ内ってひきこもり場所とか色々言われてたけど、
その中を自由に動き回るようにレバーを動かす新キャラ:マリが印象深かった。
他の場面でも中で立ち上がってみたりして、プラグ内を広く受け入れてる印象が強かった。
全ての選択が切羽詰っている、操作不能な状況がエヴァなのに、
自爆や暴走など旧作で切羽詰ったときに使われていたものを、
当たり前のように行うところに非常にアクティブな一面が見えると共に、
チルドレンたちにとってのエヴァという牢獄を全て請け負ってやろうという意図を感じた。
北米各地で公開されている人気アニメ映画「エヴァンゲリヲン新劇場版・序(Evangelion 1.0: You Are (Not) Alone)」が9月30日と10月3日、バンクーバーエリアでも公開される。


